【図解でわかる】外国人材活用支援①|在留外国人データから見る日本と埼玉県の現状

日本では深刻な人手不足が続く中、外国人材の活用がますます重要になっています。
一方で、

  • 「どのくらい外国人が増えているのか?」
  • 「どの国の人が多いのか?」
  • 「埼玉県ではどんな状況なのか?」

といった“現状の把握”がないまま、制度や採用方法の検討に入ってしまうケースも少なくありません。

本記事では、最新の統計データをもとに、全国と埼玉県における在留外国人・外国人労働者の実態を図解とともにわかりやすく整理します。
「自社で外国人材を活用すべきか?」を考えるための土台づくりとしてご活用ください。


目次

1. 全国の在留外国人は過去最高を更新

まず、日本全体の在留外国人の推移を見てみます。

2021年末から2024年末にかけて、在留外国人は

  • 2021年末:約276万人
  • 2024年末:約377万人(人口比 3.04%)

と、3年間で約100万人増加しています。

在留外国人の割合も

  • 2021年:約2.20%
  • 2024年:約3.04%

まで上昇しており、日本社会における外国人の存在感は年々高まっています。

✅ ポイント

  • 「人手不足だから外国人」という”場当たり対応”ではなく、
    社会全体の構造変化の一部として外国人材活用を位置づけることが重要です。

2. 国籍別構成の変化|ベトナム・ネパールなどアジア諸国が台頭

続いて、国籍別の構成比の変化です。

  • 2014年末:約212万人
  • 2024年末:約377万人(約1.8倍)

という増加の中で、構成も大きく変わっています。

2014年末の主な国籍

  • 中国:約75万人(30.9%)
  • 韓国:約46万人(21.9%)
  • フィリピン、ブラジルなどが続く構成

2024年末の主な国籍

  • 中国:約87万人(23.2%)
  • ベトナム:約63万人(16.8%)
  • 韓国:約41万人(10.9%)
  • ネパール、インドネシア、ミャンマーなどが大幅増加

✅ ポイント

  • ベトナム・ネパール・インドネシア・ミャンマーなど、東南アジア・南アジア出身者が大きく増加。
  • 採用・定着を考える際には、国ごとの文化・価値観の違いを踏まえたコミュニケーション・教育設計が不可欠です。

3. 技能実習生の中心はベトナム・インドネシア

現場でよく耳にする「技能実習」。国別の受入数を見ると、特徴がはっきり現れます。

  • ベトナム:203,977人
  • インドネシア:87,090人
  • フィリピン:37,914人
  • ミャンマー:31,069人
  • 中国:26,780人
  • カンボジア:14,913人
  • タイ:12,025人

✅ ポイント

  • 技能実習は製造業・建設業・農業など現場系職種が中心。
  • 「将来の戦力」というより、一定期間の就労を前提とした制度である点を押さえておく必要があります。
  • 受入れ後の特定技能への移行や、今後の「育成就労制度」への移行も視野に入れることが重要です。

4. 特定技能はベトナム・インドネシアが中心

人手不足分野を補うために設けられた「特定技能」。こちらも国籍構成に特徴があります。

  • ベトナム:126,832人
  • インドネシア:44,305人
  • フィリピン:25,311人
  • ミャンマー:19,059人
  • 中国:15,696人
  • カンボジア:5,461人
  • ネパール:5,386人

✅ ポイント

  • 特定技能は、介護・外食・宿泊・製造など、深刻な人手不足分野での即戦力人材
  • 「日本語力・技能レベル」や「支援計画の作成・実施」など、受入企業側の体制整備が求められます。

5. 技術・人文知識・国際業務(いわゆる「技人国」)の現状

専門職・事務職・通訳・設計・システムエンジニアなどで活用される在留資格が「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」です。

  • 中国:121,885人
  • ベトナム:98,713人
  • ネパール:35,001人
  • 韓国:28,072人
  • ミャンマー:12,699人
  • フィリピン:10,612人
  • スリランカ:10,297人
  • インドネシア:7,860人

✅ ポイント

  • 「海外営業」「通訳・翻訳」「貿易事務」「ITエンジニア」など、ホワイトカラー職種での受入れが可能。
  • 自社の事業戦略に合わせて、語学+専門スキルを持つ人材を中長期的に育成していくことが鍵になります。

6. 埼玉県の外国人労働者は12万人超え|事業所数も拡大

ここからは、埼玉県の状況を見ていきます。

  • 2016年:約4.4万人/7,636事業所
  • 2024年:約12万人/17,990事業所

と、8年間で「人数」「事業所数」ともに約2.7倍に増加しています。

✅ ポイント

  • 埼玉県内でも、外国人材なしでは現場が回らない企業が急増
  • これから初めて受け入れる企業は、「すでに外国人材を活用している競合他社」との差をどう埋めるかも重要です。

7. 埼玉県は全国5位の外国人労働者数|製造・建設・サービスで活躍

都道府県別に見ると、埼玉県は全国で5位(120,062人)となっています。

主な内訳は次の通りです。

  • 全体:120,062人
  • 建設業:16,016人
  • 製造業:36,792人
  • 卸売・小売業:14,500人
  • 宿泊業・飲食サービス:8,298人
  • サービス業(他に分類されないもの):21,793人

✅ ポイント

  • 埼玉県では、製造業・建設業・サービス業で外国人材が広く活躍。
  • 「技能実習・特定技能だけでなく、技人国や永住者など多様な在留資格」が存在するため、
    自社の業種とマッチする在留資格の選定が重要になります。

8. 埼玉県の外国人労働者構成|在留資格別・国籍別の特徴

在留資格別構成

  • 専門的・技術的分野(技人国・高度専門職等):30,381人(25.3%)
  • 特定活動:4,950人(4.1%)
  • 技能実習:22,183人(18.5%)
  • 資格外活動(留学生アルバイト等):25,973人(21.6%)
  • 永住者:22,995人(19.2%)
  • 日本人の配偶者等・定住者など:その他の在留資格が一定数

✅ ポイント

  • 「外国人労働者=技能実習生」というイメージは既に古く、
    多様な在留資格の人が働いていることがわかります。
  • 受入れの目的に応じて、長期定着を期待するのか、一時的な人手不足対策とするのかを設計することが重要です。

国籍別構成

  • ベトナム:34,383人(28.6%)
  • 中国:21,385人(17.8%)
  • フィリピン:15,119人(12.6%)
  • ネパール:11,402人(9.5%)
  • インドネシア:7,994人(6.7%)
  • ブラジル、ミャンマー、韓国、タイ、スリランカ、ペルー、G7等…が続く構成

✅ ポイント

  • 埼玉県では、ベトナム・中国・フィリピン・ネパールが4大勢力。
  • 国籍ごとに、就労分野・日本語力・生活文化・宗教・食習慣などが異なるため、
    採用前の情報収集と社内共有が、定着率を大きく左右します。

9. まとめ|データから見える「外国人材活用」の重要ポイント

ここまで、全国・埼玉県のデータをもとに現状を整理してきました。
改めて、中小企業が押さえるべきポイントをまとめます。

日本・埼玉の現状

  • 在留外国人は約377万人、人口の3%超
  • ベトナム・ネパール・インドネシアなど、アジア新興国出身者が大幅増加
  • 埼玉県の外国人労働者は12万人超で、全国5位
  • 製造・建設・サービス・卸売小売など、多様な業種で活躍
  • 在留資格も「技能実習」「特定技能」「技人国」「永住者」「留学生アルバイト」など多様化

企業側のチェックポイント

  • 自社の人手不足分野はどこか?
  • どの在留資格が、自社の業種・職種と相性がよいか?
  • どの国・地域の人材を受入れる可能性が高いか?
  • 受入れ後の教育・指導体制生活支援体制は整えられるか?
  • 既存の日本人従業員とのコミュニケーション・役割分担をどう設計するか?

10. 次回予告|制度比較と「自社に合う外国人材活用の形」を考える

今回は、データから見た外国人材活用の“現状把握編”でした。

次回は、

  • 技能実習・特定技能・技人国・留学生アルバイトなど、
    主要な在留資格(制度)の違い
  • 中小企業が実際に活用しやすいパターン
  • 埼玉県内の中小企業でも取り組みやすい、
    具体的なステップと活用事例のポイント

などを、図解とともにわかりやすく解説していきます。

「外国人材に興味はあるけれど、何から始めればいいかわからない」
そんな経営者・人事担当者の方にこそ、次回の記事もぜひ読んでいただきたい内容です。


※本記事の図表データは、出入国在留管理庁・厚生労働省・埼玉労働局等の公表資料をもとに作成しています。

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