外国人材を雇用する際に不可欠な「在留資格」について、入管法の基本から身分系・就労系・特定技能・技術人文知識国際業務までを図解前提で網羅解説。不法就労リスクや制度選択の考え方も中小企業向けに整理。
はじめに|外国人材活用で最初に理解すべきこと
日本で暮らす外国人は、出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づき、必ず何らかの在留資格を保有しています。在留資格の内容を誤って理解したまま雇用すると、本人だけでなく企業側も不法就労助長罪に問われる可能性があり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されることがあります。
近年、日本に在留する外国人数は約377万人と過去最多を更新しており、外国人材活用は一部の企業だけの話ではなくなっています。中長期在留者は「在留カード」を保有し、その資格に基づいて日本で生活・就労しています。

在留資格とは
在留資格とは、外国人が日本でどのような活動を行うことができるかを法的に定めた資格です。外国人雇用を行う企業にとっては、「どの在留資格で」「どの業務を任せられるのか」を正確に把握することが不可欠です。
在留資格は、大きく次の3つに分類されます。
- 身分・地位に基づく在留資格(就労制限なし)
- 就労が認められる在留資格(活動内容に制限あり)
- 原則として就労が認められない在留資格(例外あり)
身分・地位に基づく在留資格(就労制限なし)
この区分に該当する在留資格は、原則として就労制限がなく、日本人とほぼ同等に働くことが可能です。
主な該当例は以下のとおりです。
- 永住者(永住許可を受けた者)
- 日本人の配偶者等(日本人の配偶者・実子・特別養子)
- 永住者の配偶者等(永住者・特別永住者の配偶者、我が国で出生し引き続き在留している実子)
- 定住者(日系3世、外国人配偶者の連れ子など)

企業側のポイント
- 職種・業務内容の制限がない
- 現場作業・管理職いずれも可能
- 採用時は在留カード確認が中心
就労が認められる在留資格(活動制限あり)
この区分では、在留資格ごとに従事できる職種・業務内容が厳密に定められています。
代表的な在留資格には以下があります。
- 技術・人文知識・国際業務
- 特定技能
- 技能実習
- 経営・管理、企業内転勤、介護、技能、医療、教育、研究 など
いずれも、資格の範囲を超えた業務に従事させることはできず、配置ミスは不法就労につながります。

就労が認められない在留資格(原則)
以下の在留資格は、原則として就労が認められていません。
- 留学
- 家族滞在
- 短期滞在
- 文化活動
- 研修
ただし、「資格外活動許可」を取得した場合に限り、週28時間以内のアルバイトが可能となります。フルタイム雇用はできないため注意が必要です。

特定技能制度とは
特定技能は、人手不足分野において即戦力となる外国人材を受け入れるための制度です。制度は「特定技能1号」と「特定技能2号」の2段階で構成されています。
特定技能1号
- 相当程度の知識・経験を有する即戦力人材
- 在留期間は通算5年が上限
- 技能試験・日本語試験が必要(技能実習修了者は一部免除)
- 企業または登録支援機関による支援が必須
特定技能2号
- 熟練した技能を持つ専門人材
- 在留期間の上限なし(更新可)
- 長期就労・家族帯同が可能
1号から2号への移行
特定技能1号で就労しながら実務経験を積み、難易度の高い技能試験に合格することで2号へ移行します。移行は容易ではありませんが、企業・外国人双方にとって大きなステップアップとなります。



登録支援機関の活用
特定技能1号では、法令で定められた支援業務を行う必要があります。企業単独での対応は負担が大きいため、登録支援機関の活用が一般的です。
登録支援機関は、出入国在留管理庁に登録された専門機関で、生活支援・行政手続き支援・相談対応などを包括的に実施します。企業の法令遵守と外国人材の安定就労を支える重要なパートナーです。

技術・人文知識・国際業務(技人国)とは
「技術・人文知識・国際業務」は、専門性の高い業務に従事する外国人材向けの在留資格です。最大の特徴は、日本人と同等の雇用条件で採用できる点にあります。
雇用条件の特徴
- 正社員・契約社員いずれも可
- 労働時間・人事制度・福利厚生は日本人と同等
- 長期的なキャリア形成が可能
制度の強み
- 在留期間の上限なし(更新制)
- 人材の定着率向上
- 専門職・管理部門・海外関連業務に適する


技人国の注意事項(重要)
- 就労できるのは専門性のある業務のみ
- 学歴・専攻分野、または10年以上の実務経験との関連性が必須
- 単純作業や現場作業中心の配置は不可
採用時には、職務内容を明確にした職務記述書を作成し、学歴・職歴との整合性を必ず確認する必要があります。


技能実習・特定技能・技人国の比較
- 技能実習:人材育成目的、現場作業向け、コスト高
- 特定技能:即戦力確保、分野限定、転籍リスクあり
- 技人国:高度専門職向け、通常採用と同等、現場作業不可
企業の業種・採用目的に応じた制度選択が重要です。

初めて外国人材を採用する企業向け|制度選択の考え方
外国人材採用では、以下の視点を整理することで適切な制度を選択できます。
- フルタイムか短時間か
- 求める専門性・技能レベル
- 採用時期(すぐか将来か)
これらを整理することで、自社に合った外国人材活用制度が見えてきます。

まとめ|在留資格の理解が最大のリスク対策
- 在留資格は必ず事前確認が必要
- 就労可でも業務内容には制限がある
- 特定技能・技人国は目的別に使い分ける
- 不安な場合は専門家・支援機関と連携する
在留資格を正しく理解することが、外国人材活用を成功させる第一歩です。

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